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時計塔と忘却の行方[dzl]

第35章 黒い


「どういうこと……?」
 僕が問いかけると、黒い何かが口もないのに言葉を続けた。
「ネザーゲートを見つけたら、ぼんさんやおんりーやおらふくんやMENには、二度と会えなくなるぞ?」
「え……」
 こんな変なやつのことは信じなくてもいいのに、僕はその言葉で心がとても揺らいだ。二度と会えないことが、どれくらい辛く悲しいのか、この頃の僕には想像出来なかった。
「アイツらにネザーゲートを見つけさせるな。誰もあの場所のことを教えてはならない」黒い何かはまだ話す。「ぼんさんや友達に二度と会えなくなるのは悲しいだろう?」
「僕は……」
「そこから離れるんだ!」
 バラバラ!
 誰かの声が飛んできたと思った直後、何かが散らばる音がして僕ははっと視線を逸らした。
 そこには、赤いズボンを履いた半裸の男性がいつの間にかいたのである。
「え、誰……」
 言いかけるのも束の間、早くここから離れてと、僕は勢いよく手首を掴まれて走っていた。すると周りの景色がぐにゃりと捻れたように歪んで、僕と知らない男性は、黒い四角に囲まれたゲートみたいなところに飛び込んだ。
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