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時計塔と忘却の行方[dzl]

第32章 上へ


「じゃあ行くよ……」
 そう言って僕はカーペット橋に足を踏み込む。思った以上に揺れなくて僕が驚いたくらいだ。
「上がるの手伝うよ」
 おんりーも上から少し下りて来て僕が橋を渡り切るのを手伝ってくれた。後ろからおらふくん、MENがついて来たけど橋は揺れるどころかしっかりしていて、とても渡りやすかった。
「さ、あとはぼんさんだけですよ」
 とMENが言い、ぼんさんを振り向く。ぼんさんの表情は相変わらず不安そうだったけど、三人の子どもが乗っても大丈夫だったんだからとなんとか励ましてぼんさんも橋を渡り切ることが出来た。
「ありがとね〜、ユメトくん。知らない人にそこまで頑張れるのはすごいことだよ」
 とぼんさんに言われて僕はドキリとした。僕は、ぼんさんのこと知ってるんですよ。喉まで出かかったけど言わなかった。だって、僕は三人以上にぼんさんの本当を知らない。そんな僕が、ぼんさんの知り合いだって言え資格はないと、子ども心ながらそう思ったのだ。
「さ、次行きましょう」
 おんりーが冷静な言葉を放って次のアスレチックへと飛び乗り始めた。先にMENが行き、おらふくんがぼんさんに寄り添いながら先へ進む。
 僕にも、何か出来ることがあるだろうか。
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