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時計塔と忘却の行方[dzl]

第32章 上へ


 次の瞬間、バサリと音がして、おんりーがいるところから何か長いものが飛び出してきた。
 何が起こるんだろうと見守っていると、それは僕らがいるそばで浮かんでいる物にぶつかって静止した。長いものがなんなのかよく見てみると、それは赤いカーペットで、僕らのいるところからおんりーのいるところまで、薄っぺらい橋のようなものが架かったのだ。
「それ渡ってこっち来れないです?」
 おんりーが上の方でそう訊いてきた。少し斜めだが、渡れそうではある。
「ええ、ここ渡るの……?」
 とぼんさんは不安げだった。確かに、カーペットが橋になってるなんて不安しかない。僕は勇気を出した。
「僕が先に渡ってみるよ。僕はぼんさんより小さいから、なんとかなるよ」
 きっとね、と僕は心の中で付け足しながらカーペット橋の前まで立った。こうして立つと、おんりーのいるところはかなり高く見えたし底なしの暗闇はちょっと怖くも見えた。
「大丈夫なの……?」
 後ろでぼんさんが声を掛けてくれたが、目が見えないぼんさんの代わりに色々やって来たし、僕なら大丈夫と頷いて返事をした。
「僕もついて行くよ」
「俺も行くかぁ」
 すると、あとからおらふくんとMENもついて来て、僕と一緒にカーペット橋を渡ることとなった。なんだかんだ言っても、おらふくんもMENも、ぼんさんを安心させたいんだなって思った。
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