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時計塔と忘却の行方[dzl]

第30章 種の思い出


「どこかにまだ隠れてる部屋があるってこと?」
 と聞いたのはおらふくんだ。ぼんさんの顔がパッと明るくなった。
「そうそう、それだよおらふくん。多分まだ知らない部屋がどこかにあるかも……」
「もしかして、時計塔のどこかにある入れない部屋のことか……?」
 と言ったのはMENだ。そういえばさっき、ここに入って来た時にMENがそう言っていた。ぼんさんから聞いたって……。
「ぼんさん、何か思い出さないですか……?」
 僕は改まってそう聞いてみた。だけどもぼんさんは眉を吊り下げるばかりで、そんなこと言っても……と困り果てている様子だった。
「とりあえず、探してみましょう。さっきみたいに、どこかにヒントがあるかも」
 とおんりーが言ったので、僕らは賛成して部屋を出ようとした。
「僕たち、この時計塔に閉じ込められちゃったから、なんとかせんとなぁ……うわぁ?!」
「おらふくん?!」
 扉のドアノブを捻って開けたおらふくんが、突然バランスを崩して倒れそうになったところをすかさずMENが掴んだ。
「ありがとう、MEN……」
 と言っておらふくんは部屋に戻って来たが、扉の先に見える景色に僕は異様さを感じていた。
「床が……なくなってる……?」
 僕はやっと言葉にしたが、今見えている景色が信じられなかった。
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