第5章 自白
そこで僕は違和感にすぐに気づいた。僕とはもう何歩も先のところにいるのに、ぼんさんは仕切りに辺りをキョロキョロしている。
そうか、目が見えないってそういうことなのか。
僕はようやく理解して、このままこっそり出て行こうとした。周りに割れたシャンデリアの破片が散らかっていたけど、僕は早くここから逃げ出したくて、謝るとかそういう考えがなかったんだ。
「うわ?!」
その時、ぼんさんが、落ちているシャンデリアの装飾に足を引っ掛けて大きく転んだ。痛いと呻いてなかなか立ち上がらないぼんさんのことを、僕はなんだか放って置けなくなった。
「大丈夫ですか? おじぃさん」
僕はぼんおじぃさんに手を伸ばして立たせてあげた。ぼんさんは何度もありがとうと言いながら、とりあえずそこの椅子に座らせてくれと言われたので近くにあった椅子まで案内した。
「ところで、アナタどこから来たの? 上で何か壊れる音がしたけど大丈夫だった?」
「それは……」
僕はとうとう、ぼんさんに天井のシャンデリアを壊してしまったと自白することになった。