第4章 シャンデリア
そうして僕は友達と一緒に荷物を動かした。だけど中に何が入ってるのか、とても重くて全然動かなかった。
「僕たちだけじゃ無理だよ」
と僕が言うと、友達はうーんと考えてこう言った。
「じゃあ今度はアリスちゃんを呼ぼう」
「アリスちゃん、来てくれるかな?」
「秘密の場所の話したら来るよ!」
どこからそんな自信があるのか、僕は分からないまま荷物から離れようとした。
「あ、危ない!」
「え」
友達の声が聞こえた時には、僕はこっちに向かって倒れてきた大きな荷物の影になっていた。逃げようとしたが間に合わず、僕は荷物の下敷きになった勢いで足を滑らせた。
友達はびっくりしてさっさとどこかに行ってしまった。僕は通路から足だけ出してぶら下がった状態になっている。
「助けて……」
と声には出してみたが友達からの返事はない。あとはここの管理人のおじぃさんに大声を出すしかないのだろうか。子ども心ながら色々考えても、勝手に時計塔に入ったことは悪いことだと思うようになっていて、ここで大きな声を出したら絶対怒られることが分かっていた。
「うっ……」
だけど手が耐えられなくなって、僕はとうとうずり落ちてしまった。僕はなんとかしようと手をバタバタさせてシャンデリアを掴んだ。シャンデリアのガラスの灯りがガシャンガシャン割れてしまったが、そんなことを気にしている余裕はなかった。とにかく今は生きることに必死で。
だけど勢いよく重力で下に引っ張られた僕の体は、シャンデリアの何かの紐を掴む僕の手の握力を無視してどんどんと落下していき、広間のど真ん中へと放り出された。
「いたたた……」
床は柔らかいカーペットで助かったが、僕は間もなくここの管理人さんにバレてしまった。
「だれだれ? 誰かそこにいるの?」
ぼんさんが、キョロキョロしながら僕を探した。