第29章 異世界
それはとても、酷い言葉だと思った。
「やめて下さいよ、ぼんさん」そこに口を挟んできたのはおんりーだった。「ユメトは俺たちと友達なんで。これからも一緒なんです」
「おんりー……」
おんりーにそう言われたぼんさんの顔は、サングラスでよく見えないけど、悲しそうだった。
……ぼんさんも、何か大事なことを知っていて、悲しい気持ちなんだ。
僕は、今の自分の気持ちがぼんさんの気持ちと重なって、少しだけ分かる気がした。
「どういうこと? ぼんさんとお別れしないといけないってこと?」
「いや、多分違う、おらふくん」まだ状況を理解出来ていないおらふくんに、MENがゆっくりと話し出した。「よく考えてみたら、俺たちはこの街に、気づいたらいたんだ。それは二人とも同じ状況だろ? そう考えると、俺たちは……」
MENは言葉を続けなかった。MENはいつもゴーグルを身につけていたけれど、俯いた表情に、僕はいつまでも気づかないフリは出来なかった。
「ぼんさんとおんりーとおらふくんとMENは、別の世界から来たの……?」
僕は恐る恐る、言葉にした。おんりーは何も答えずに目を閉じて、おらふくんは信じられないといった様子で小さく首を振った。MENは俯いたまま、拳を握るだけだ。
僕はぼんさんへ目を向けた。
「そうなんだ、ユメトくん。俺たちは、別の世界から来た」
「そうだったんだ……」
その摩訶不思議な発言を、なぜか僕はすんなりと受け入れることが出来た。なのにドキドキと心臓が早く鳴って胸が苦しくなるような思いだ。