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時計塔と忘却の行方[dzl]

第28章 思い出の品


 僕はすかさずぼんさんに寄り添って背中をさすってあげた。ぼんさんがぶつぶつと、何か思い出しそうなんだけど、と小声で言っているのが聞こえた。
「ここで俺の出番だな」なぜかこの状況でも前向きなMENは、そう言って絵画を目の前で広げた。「ぼんさん、これ覚えてます? ずっと前に、ドラゴンを倒した話をしてたんすよ」
「ドラゴン……?」
 痛みに顔をしかめながら、ぼんさんはMENが広げた絵画へ目を向けた。そこには抽象画だが一人の人間が、ドラゴンと戦っているように見て取れる絵が描かれているのだ。
「ドラゴン……ドラゴンって、エンダードラゴン……?」と言った瞬間、ぼんさんは何か閃いたように口を大きく開けた。「あー! 思い出した! 俺たち、エンドラ討伐行くためにネザーゲート通ってきたんだよ!」
「えっ……?」
 僕には、何を言っているのか分からなかった。見るとおんりーもおらふくんもMENもきょとん状態。だけどぼんさんだけは張り切った様子で椅子から立ち上がり、部屋をあちこちと歩き出した。
「俺たち、ネザーゲートを通ったのになぜか変なところに来て……そう、そうだ! 時計塔になぜかいたんだよ!」それからぼんさんはくるりとこちらを向いて続けた。「おんりーもおらふくんもMENも一緒に通ったじゃん! 覚えてないの?」
「そう言われてましても……」
「僕、何も覚えとらんしなぁ」
「ねざーげーと? ってなんすか」
 おんりーとおらふくんもMENはそう口々に言ってぼんさんの話の意味が全然分からない様子。僕も全く分からなくて、肩を竦めるばかりだ。
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