第27章 記憶探し
とにかく僕たちは、なぜか若返って記憶喪失のぼんさんをベットで寝かせて部屋を一旦あとにした。
そして僕たちは円を描くように集まって話し合いを始めた。
「ぼんさん、記憶喪失になったから時計塔がおかしくなったんやろか」
と最初に切り出したのはおらふくんだ。おらふくんの発言はまるで絵本の話のようだったが、このおかしな時計塔の中では、半分くらいは当たっている気がした。
「それが本当かどうかは、ぼんさんが元に戻ったら分かるんじゃない」
とおんりーは応えたが、答えが分かった訳ではなさそうだ。僕たちはこれから、何をしたらいいのだろうか。
「んー、記憶を取り戻すんだったら、ぼんさんが好きだったものを持ってくるとか?」
とMENは提案したが、僕はぼんさんの好きなものを知らない。三人が何も言わないところ、みんな知らないみたいだ。
「とりあえず外に出てみる? こっちが出口やったよな……あ、開かない」
絵本の世界でよくある不思議な空間に閉じ込められてしまう展開。僕たちは、時計塔に閉じ込められてしまったみたいだ。どうしよう、とみんなが考え込んでいる中、僕はあることが思いついていた。
「そういえばさ、ぼんさん、昔は冒険家だったんでしょ?」と僕は言葉を続ける。「だったら、コレクション部屋にあったものを何か持って行ったら、僕たちのことを思い出すかも。コレクション部屋には行けるよね?」
ああ、それはいい案かも! みんなはそう口々に言い合って、コレクション部屋へ引き返した。そこにはもう、偽物の部屋が三つ並んでいることもなく、正しい部屋が一つあるだけだった。
だけどそんな現象くらいで驚いている場合ではなかった。僕たちは、それぞれコレクションの中からぼんさんの記憶を取り戻せそうなものを持ってこようということで、思い思いのこれぞというものを持ってくることにした。