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時計塔と忘却の行方[dzl]

第25章 隠し部屋


 ガコン……。
 そうしている間に、MENはレバーを動かし終えた。僕は何が起きるんだろうとレバーだらけの壁を見張っていたが、まず変化が起きたのは音だった。
 ガタガタと歯車のような音がどこかで聞こえ、そしてようやく見た目に変化が起きたと思ったら、壁が動いたのだ!
「えっ」
 僕は言葉を出すより早く、壁はあっという間に天井まで持ち上げられ、その後ろに隠れていたらしい一つの扉が顕となった。
「ここ、こうなってたんだ」
「いや、ここに部屋がある設計図ではなかったはず。ここが変な空間だからか、もしくは……」
 おんりーの言葉にMENは途中で言葉を切って床を見た。床にはわずかな隙間があったのだ。僕がなんのことか分からずに首を傾げていると、おらふくんが横で明るく言った。
「もしかして、この部屋地下にあったってこと?」
 それは突拍子もない発想だったが、この時計塔は大昔、頭のいいすごい人たちがたくさんの知識と技術で造ったと聞いていたから、そういうことも出来るのかもしれないなと、僕はすんなりと信じた。だってここまで来るのに見てきた景色が、全部嘘だとは思えなかったから。
「とりあえず、まずはぼんさんを探そう」
 と僕は言い、現れた扉の前に立った。四人はそれぞれ頷いてくれて、僕は少し緊張しながら、その扉のドアノブを捻った……。
 ガチャリ。
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