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時計塔と忘却の行方[dzl]

第24章 次なる謎解き


「これは、時計塔の時計を動かしているレバーだ」とMENは説明を続ける。「だけど、普段は弄ったりしないんだよな。常にONがこれで、常にOFFがこれだから……」
「じゃあ、このレバーを動かす時はどういう時なの?」
 これは僕だ。
 MENはまだレバーから目を離さないまま嫌がる顔一つもせずに話してくれた。
「直接文字盤まで行って時間のズレとかを直せない時だな。って言っても俺が直していた時は全部レバー使わないで直していたし……」
 ということは、ぼんさんが一人で直す時は、このレバーを使っていたのだろうか。目が見える僕でさえ、こんな沢山あるレバーが何をどう動かしているのか分からないのに、ぼんさんは全てこれらを暗記していたのだろうか。
「ぼんさん、どこに行ったんやろねぇ」
「多分、このメモ用紙の先にいるんだと思ってるけど……」
 すぐそばでおらふくんとおんりーがそう会話をしている。二人は謎のメモ用紙を見つめていた。僕もちらとそのメモ用紙を見てレバーの数へ視線を戻すと、あることに気がついた。
「よく見たら、レバーに目印があるんだね」
 レバーの持ち手には、記号のようなものがついていた。触ると凹凸感がある。目が見えないぼんさんが時計塔管理出来たのは、触ったら分かるようになっていたからなのでは、と僕が考えたところでMENは声をあげた。
「ああ、そういうことか!」MENはレバーに手を掛けた。「この記号の通りにレバーを動かしたら、次に進めるんじゃないか?」
「え」
 そう言われて気づいた。レバーには♡や♤、○や‪‪‪☆マーク以外に、△や□のマークもあったのだ。
「とりあえず動かしてみるか」
 レバーを動かしたらどうなるのか。それは僕にもみんなにも分からない。それにここは、本当の時計塔の中ではないし、想像していた以上のことが起こるのかもしれない。
 僕は固唾を呑んでMENがレバーを動かすのを見守っていた。横ではおんりーがメモ用紙の記号を読み上げ、書いてある通りにMENがレバーを上げたり下げたりした。僕はそんな二人の後ろにいて、隣ではおらふくんが大丈夫だよって励ましてくれた。僕、自分で思っていた以上にぼんさんのことを心配しているみたいだ。
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