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時計塔と忘却の行方[dzl]

第23章 奇妙な部屋


 ガタン……!
 時計塔の正面扉を模したそれをくぐった先は、コレクション部屋と繋がっていた。
 ぼんさんが楽しそうに話してくれた冒険の数々の証があるその部屋には誰もいなく、しんっと静けさだけが広がっていた。
「ここは……」
 僕は今起きている不思議な現象に困惑しながら辺りを見回した。一見、前に見たコレクション部屋と同じような気もしたが、次におらふくんが言った言葉で崩れることとなる。
「あ、こっちにも部屋あるよ!」
 僕は声のした方へ向かったが、そこにはまたもう一つのコレクション部屋と隣接していて、一瞬言葉を飲んだ。
「おいおいおい、ちょっと待て、どうなってんだよ、ここは……」
 とMENが言うのも無理はないと思った。なぜなら僕たちがいる部屋は、四つの部屋が壁もないまま繋がっていて、そのどれもがコレクション部屋だったのである。同じ部屋がこうも繰り返し見えてくると、僕の目が回りそうだった。
「なんで部屋が四つもあるんだ……?」
 とおんりーは顎に手を当てて考える。見る限り、棚に置いてあるコレクションも同じで、壁に飾っている絵画もいつも通り……。
「あれ?」
「ユメトくん、どうしたん?」
 何か違和感に気づいた僕に、おらふくんが真っ先に声を掛けてきた。僕はもう一度壁にある絵画へ目を向けた。
「ここにある絵画、こんな絵描いてあったっけ?」
 そこにはヒマワリが描かれた絵が飾られてあった。それは、どこにでも見る有名な絵画のようにも見えたが、僕の記憶の中は違うと囁いていた。ぼんさんと一緒に見たコレクション部屋に、こんなヒマワリの絵は飾っていなかったはずだ、と。
「あ、こっちの部屋は別の絵だぞ……!」
 と声をあげたのはMEN。隣の部屋へ駆けつけて見てみると、そこにはドラゴンと戦う誰かの抽象画が描かれた絵が飾ってあった。そうだ。ぼんさんと一緒に見た絵画はこれだ。
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