• テキストサイズ

時計塔と忘却の行方[dzl]

第22章 探索


 ただ、よくよく見ていると扉は一つ一つデザインが違っていて、カラフルな色をしていた。こっちは白い扉、向こうには黒い扉……。
「あ」
 僕は天井側にある逆さまの扉に目がついた。あの扉をどこかで見たことがある。それがどこだったか考えた時、時計塔の正面出入口にあった扉だと思い出して僕は急いでみんなを振り向いた。
「あの扉が最初の扉じゃない?」
 僕の声で三人は集まり、時計塔正面出入口にそっくりなデザインをした扉を見上げた。実際の正面扉はもっと大きかったけど、左右に天使が描かれているように見える彫刻が見えるのはその扉だけだ。
「ああ! 確かに、最初の扉だな」
 とMENは納得したように頷いたが、見つけただけではどうしようもなかったのも事実だった。
「でも、あんな高いところまでどうやって行くん?」
 おらふくんが言っている通り、その扉は天井側にあるので、ドアノブを捻るどころか、手が一切届かないのだ。
「MEN、この棚一緒に動かせる?」
 そこでも冷静なのはおんりーだった。先程足場にした棚を指してMENを呼んだおんりーは、近くにある家具でその扉まで行こうと話すのだ。
「あ、結構軽いな」
 体格のいいMENはわりと簡単に棚を押してみせた。よく見ると棚には中身が入っていない。子どもが少し頑張れば動かせるくらいだったみたいだ。
「なんかアスレチックみたいやなぁ、行けるかな……」
「一緒に行こう、おらふくん」
「うん!」
 そうして僕はおらふくんの手を取り合いながらなんとか棚をよじ登り、怪しい扉の前まで辿り着いた。おんりーが先に待っていて、僕たちが登り切ると、開けるよ? とこちらを確認した。僕たちは頷いた。
 ギィ……。
 聞き慣れた音を立てて、扉は開いた──
/ 73ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp