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時計塔と忘却の行方[dzl]

第22章 探索


 そうして僕たちは、手分けして探索をし、通れそうな扉をいくつもいくつも通ってきたが、同じ通路に出るばかりで景色が変わり映えしなかった。
 そしてとうとうMENがぽつんと切り出したのだ。
「ここ、同じところをグルグル回ってるんじゃね?」
 全く同じ絨毯に曇ったままの窓ガラス。壁の装飾も変わり映えがなく、変化があるとするならあちこちに向いた扉だけ。開く扉はまちまちで、僕たちは開くところを探して通っていたのだが、何度扉を開けても、同じ景色の廊下に出るばかりだったのだ。
「確かに、同じところを通っている気がする……」
 と考える素振りを見せるおんりー。僕もそんな気がしていた。
「僕たち、廊下の中に閉じ込められちゃったってこと……?」
 そんなこと、考えたくなかったけど、思わず言葉にしてしまった僕。言葉にするとますます不安になってきた。
「何か通る順番でもあるのかな? 扉の」
 と明るい声で切り出したのはおらふくんだ。おらふくんはずっと探索をし続けていた。
「通る順番……?」
「そうか、だとしたら何かどこかにヒントがあるかも」
 僕は首を傾げたが、おんりーがそう言ってぴょんっとそこにあったクローゼットによじ登った。
「そんなところに登ったら危ないんじゃ……」
 と僕は言いかけたが、大丈夫とおんりーは身軽な動きで天井に掛かっている柱まであっという間に登っていった。
 僕がハラハラして見ていると、MENが近づいてきてよく登ったなぁと呑気そうにおんりーを見上げた。MENはおんりーと付き合いが長いんだろうか。心配しているというより、信頼している感じがした。僕はちょっと羨ましいと思った。
「あ、あった」
 その内、柱の上を探索していたおんりーが何かを見つけて下りて来た。おんりーが手にしていたのは一枚の紙。僕はみんなと一緒になってその紙を覗き込んだ。

 記憶を辿れ。最初にくぐる扉はどれ?

「記憶を……?」
「最初にくぐる扉?」
「俺たちが最初に入ってきた裏口の扉のことか?」
 僕とおらふくんとMENはそれぞれ疑問を言葉にして考え込む。紙を見つけたおんりーも、書かれてある文字を見つめて考えているみたいだ。
 僕は紙から視線を離してぐるりと廊下を見回した。そこには奇妙過ぎる程あちこちに扉が横を向いたり逆さまになったりして壁を埋め尽くしていて目が眩みそうだった。
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