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時計塔と忘却の行方[dzl]

第11章 再び時計塔へ


「どうしたの?」
「お父さんとお母さんに、時計塔に行ったらダメだって言われてるんだ」
「どうして?」
「分かんない……」
 僕は困った。お父さんとお母さんの言いつけを破りたくないのに、心から大切な友達と思ったおんりーたちと離れたくもない。僕は行かない、とはっきり言うことも出来ないまま、口だけをパクパクさせて、たまらなくなって俯いた。
「だったらさ」おんりーは僕の顔を覗き込んだ。「一緒に公園で遊んでたってことにしようよ。お父さんとお母さんには秘密にして」
「嘘ついたら怪盗になっちゃうよ?」
 それは親からも学校の先生からも散々聞いてきたこの街に伝わる本の一文だった。
 だけどおんりーはクスクス笑って、こう言ったのだ。
「怪盗ごっこしてたってことにしよう。そしたら怒られないかな?」
「怪盗ごっこ……」
 その時僕は、初めて時計塔に潜入した時のワクワク感とドキドキ感を思い出した。それはとても、楽しい気がした。
「うん、分かった!」
「じゃあ行こう」
「うん!」
 僕はおんりーに手を引かれて時計塔へ走った。
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