第11章 再び時計塔へ
そんなある日、僕が学校帰りを歩いていると、上から声が聞こえた。
「あ、いたいた。おーい」
「……?」
見上げると街路樹の枝の上に小柄な子どもが乗っていて僕のことを手招きした。
よく見ると、あの時計塔で出会ったおんりーだった。
「そんなところで何してるの? 危ないよ」
「そっちこそ、今まで何してたのかと思って」と言っておんりーはぴょんっと身軽に枝から飛び下りて来た。「学校の近くにいたら、会えると思ってた」
「でも、学校はこの街の中でも何個もあるんじゃ……」
「他の学校にはおらふくんとMENが探しに行ってる」
「え、そこまでして僕を探していたの?」
と僕が驚くとおんりーは不思議そうに瞬きをして見つめ返した。
「友達と会いたいと思ったら探すよ」
そこで僕は、この三人こそが本当の友達なんだと思った。あの時の友達は今でも仲良くしているけど、それ以上に何か温かいものを感じて僕はなんて言ったらいいか分からなかった。
「ありがとう……他になんて言ったらいいか分からないけど……」
「お礼は時計塔でみんなに言った方がいいよ。特にぼんさんがずっと気にしていたから……」
時計塔、と聞いて僕の足は止まった。時計塔には行ってはいけないと言われている。僕はお父さんとお母さんの言いつけを守らない悪い子になってしまうのではと途端に怖くなったのだ。