第8章 時計塔管理人と三人の友達と僕
「大丈夫ですか、ぼんさん」
すぐ後ろにいたおんりーがぼんさんを支えてなんとかなったが、僕はますます不思議に思った。目の見えないぼんさんに、時計塔の管理をさせるのはおかしい。
「ぼんさん以外に、時計塔の管理が出来る人はいないの? これじゃあ危ないよ」
「ほんとに、なんでぼんさんに任せたんでしょね」
僕の言葉に、MENも共感するかのように頷いた。大人の事情は、僕たち子どもには分からないというのだろうか。
「厄介払いなのよ、俺は。どこにいても邪魔だから、ここにいるしかなかったの」ぼんさんはそう言いながら、おらふくんとおんりーに引っ張られて体勢を整えた。「十年以上ここにいるからね、もう大体分かるよ」
それだけ言ってぼんさんはまた階段を上がり、おらふくんも一緒に並んで歩いて行った。その曲がった背中を僕は見つめて、何が分かったのか知りたいと思った。
「ね、僕に出来ることある? 僕も時計塔の管理手伝うよ!」
それが、僕がこの時計塔管理人さんと過ごすことになる始まりだった。