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その琥珀色の瞳に映るのは・・・

第1章 ゲームの世界に転生を


手も口も離れない。どうかしたのだろうか?

「私は今まで、人から聞く一目惚れというものを信じてはいなかったのですが・・・。どうやら、私は貴女を好いてしまった様だ。」
「えっ?」

驚き顔を上げれば、思った以上に近い場所に彼の顔があった。琥珀色の瞳が私の顔を映していた。

彼って、こんなキャラだったっけ?ヒロインとの関係も、中々進展しない内容だった。年齢も離れていたし、教師と教え子の関係も加味されていたのかもしれないのだけど。

「これから全力で口説かせて貰いますから、楽しみにしていてください。」

私が好きな淡く微笑むその表情を、至近距離で拝める時が来るとは思ってもみなかった。

「あの・・・「ルクターと呼んでください。」」
「えっ?あ、えっと・・・ル、ルク、ター様。」
「あぁ、こういう気持ちになるのか。初めて理解した。愛おしい人から名前を呼ばれるだけで、こうも胸が躍るものなのですね。」
「愛おしい?」
「えぇ、愛おしいです。ハグしてキスして、腕の中に閉じ込めてしまいたいくらいに。」

私は両手で顔を覆った。彼の言葉が辛い。恥ずかしくて無理。それに、この声も大好きなのだ。私にも昔、付き合っていた人は二人いたしそういう関係になったこともあった。

でも・・・彼は別格だ。

私の手に、私ではない温もりを感じる。

「どうか、その愛らしい顔を隠さないでください。」
「む、無理です・・・。は、恥ずかしい。」
「ふむ、どうやら口説かれ慣れていないみたいですね。そういうところも愛らしい。では・・・。」

左手の指に触れた柔らかい感触。おずおずと指の隙間を広げれば、目の前に彼の顔があった。

「私を好きになってください。」

こんな押しの強い人だったっけ?それに、目が逸らせない。私の左手を取り、もう一度キスする。

「大切にします。お約束します。」
「わ、私は貴族ではないです。その・・・ル、ルクター様の様な素敵な方には、貴族のご令嬢との縁談の方が有意義だと・・・。」
「いいえ、私は貴女がいい。他の女性など必要ありません。何度でも言います。私は貴女がいい。まだ時間はありますし、これからじっくり距離を詰めましょう。まずは、王都でデートでもしましょうね。」

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