• テキストサイズ

その琥珀色の瞳に映るのは・・・

第5章 拉致と監禁


私はゲームの話しを旦那様にはしていない。そんな私だから、旦那様の顔が見られない。しかし、私の顔を力技で向けたのは、その旦那様本人だった。

「初耳だけど、スミレの顔を見たらそれが事実なのだと理解した。だからか・・・。」
「えっ?」
「前に言った事があっただろう?私のこの容姿を、世間ではどういう風に見られているか理解はしていると。それでも、スミレはどんなに私が愛を乞うても何かに引き止められたかの様な態度だった。自分が登場人物じゃないからと、引け目を感じていたんだろう?」

私は小さく頷いた。だって、事実だから。

「そんな必要などないよ。私はスミレだから、恋に落ちたのだから。登場人物じゃない?だから何って、私は思う。もうさ、自分でもどうしようないくらいスミレを愛してる。だからさ・・・。」

旦那様が、ヒロインを見た。

「キミが物語にとって必要不可欠な存在なのだとしても、私には何の価値もないその辺に転がっている石ころと同じだ。正しく?笑わせるな。」

それは決して、ヒロインという存在に向ける視線じゃなかった。

「目を覚ましてください、先生!!先生はこの女に洗脳されているだけなんです。」
「洗脳?それ・・・この私に言うのか?魔法使いである私に?冗談だろ。」
「で、でも、先生は間違った選択を・・・。」
「キミも、学園から追放させてあげますね?楽しみにしていてください。」

ヒロインの顔色が変わった。あの女の子の事を思い出したのだろう。

「スミレ、今日はすまないが屋敷に戻ろう。また時間を作るから。その時は、店に並ぶもの買い占めてもいい。」
「そ、それはちょっと・・・。」
「相変わらず奥ゆかしいな、私の妻は。では、帰ろうか。私たちの家に。」

ヒロインは泣き腫らした顔のまま、旦那様に縋って来ようとした。そんなに思い入れがあるなら、最初からそうすれば良かったのに。そう思わずにはいられなかった。

縋られた旦那様は、私たちとの間に壁を作ってそれ以上立ち入れなようにした。

ヒロインは学園から姿を消したのはそれから三日後のことだった。あの女の子同様に危険視していた旦那様の行動力は半端なかった。

ヒロインは容赦なく国で一番厳しい修道院へと送られた。その途中、盗賊に襲われたという話しを噂で聞いたきり行方は分かっていない。
/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp