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その琥珀色の瞳に映るのは・・・

第5章 拉致と監禁


覚えのある温かい感触が、私を抱き込んだ。

「もういいよ。」

目を開けると、いつもの穏やかで優しい笑みを浮かべた旦那様の顔があった。思わずギュっと抱き付く。

「怖かった・・・。」
「ごめん・・・実のことを言うと、今回の計画のこと掴んでいたんだ。スミレには怖い思いをさせたくなかった。でも、この先のことを考えて・・・確実に潰しておこうと決めたんだ。」

その時に元婚約者を見ようとしたけれど、旦那様は見せてくれなかった。

「ダメ、私だけを見てて。もう物理的にも自由はないだろうから、安心していい。」

物理的って・・・。まさか・・・。

「おや、幾ら何でも私自ら殺したりなんかしない。ただ、犯罪者が働く場所で一生を掛けて働いて貰おうと思っただけだから。我が伯爵家の人間を拉致したんだ。当然の報いだから。」

私は知らなかった。犯罪者が働く場所だから、重労働くらいにしか思っていなかった。現実は、その重労働で働く男たちの性欲のはけ口として働くことになったのだった。

それからの旦那様は、更に溺愛が激しく束縛も二割増しとなった。私もあんなことがあったから、メイドと二人というのが怖くなっていたので問題ない。

代わりに旦那様が、いつも私を連れ出してくれた。籠の鳥にはしないと、外の世界も見せてくれる。

一先ず、安心していたのだけど、これで終わらないのはゲームの強制力でもあるのか出会ったのはヒロインだった。

誰が見ても可愛い女の子だと言う容姿。そんなヒロインが私に告げたのは、「離婚して、ゲーム通りに私に先生を譲って」という言葉だった。

どうやら、あの退学させられた女の子からゲームのことを知らされたらしい。女の子主体の内容も盛り込まれているのだろう。

女の子があんな目にあったのも、イレギュラーなことがあったのも、ヒロインが先生と結ばれなかったから。ヒロインは先生と結ばれて初めて物語は正しくて、ヒロインは幸せになれるのだと。

そんな訳がない。そう思うのだけど、洗脳されたのかヒロインは断固として私の存在を認めないと言った。

「私だって、最初は先生のことをいいなって思ってた。でも、親友のあの子が好きなこと知っていたから譲ってあげたの。でも、それが間違いだった。だから、物語を正しくしなきゃ。それが私の務めなの。」
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