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その琥珀色の瞳に映るのは・・・

第4章 その手を振り払ったのは・・・


学園は予定通りに始まった。玄関まで彼こと旦那様をお見送りしては送り出す。見慣れた先生用の服装に少し感動しつつ、私はお義父様となったルキウス様のお手伝いをする様になった。

書斎で広げられた書類。私は補正からか、色んな文字も読めたし書くことも出来た。しかし、この時はまだ知らせていなかった。

「スミレ、そっちの書類は他国の言語だから・・・って、仕分けが終わっている。読めるのか?」
「えっ?あ、はい。」
「では、こっちは。」

結局、何処の言葉も読めて書けたのでお義父様は感動していた。計算もソロバンがあったから何なく看破。やってて良かったなんて思いながら、ソロバンの珠をはじいていく。

「そうだ、スミレ。結婚式は婚約式も兼ねて盛大にするから楽しみにしていてくれ。」
「ありがとうございます。」
「それで、息子とはどうだ?上手くやれていると聞いてはいるが。何か息子に不満などないか?それとなく私から言ってもいい。」
「い、いえ、不満だなんて。いつも優しくて大切にしてもらっていますから。」

そこへ現れたのは、家令のアバン。お義父様と同年代のダンディなおじさまだ。

「若奥様にお手紙が届いております。」

若奥様って、そう言えば私だった。まだ全然慣れないけれど。

「お手紙?私には知り合いなんていないのですけど。」

シンプルな白い封筒を受け取って、裏側を見て私は顔色を変えた。

「水上 壮一・・・。」

前世で私を捨て、先日再会したその人だった。

「その名は、先日の男の名だな。」
「えっ?」
「男の方もスミレのことを調べたのだろうが、こちらも同じく調べさせた。今は、ある商会で働いているそうだ。」
「商会・・・。」
「侯爵家の娘が気に入って、パトロンみたいな事をしているらしい。」

娘って、あの金髪碧眼の事なのだろうか。

「聞いていいか?」
「はい。」
「その男に未練は?」
「ありません。爪の先ほども。」
「その手紙、私も読ませて貰っても?」
「はい。」

文面は、前世で私とのことがバレて、激怒した婚約者から詰め寄られて諍いを起こしている内に、歩道橋から共に落ちて命を亡くしたらしいことが書かれていた。

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