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その琥珀色の瞳に映るのは・・・

第3章 憎い相手を思い浮かべて?


「スミレ・・・愛している。」

盛り上がっている彼に反して、免疫のない私は成すがままだ。抱き絞められた腕は力強くて、こんなに想われていたのかと身をもって体験させられた。

「ルクター様・・・。」
「何、スミレ。」
「本当に、一生私だけを大切にしてくれますか?」
「二言はない。では、父上にスミレの事話すから。」
「えっ?ルキウス様に?」
「何の切っ掛けでスミレが私を受け入れてくれたのか分からない。だから、形からスミレを囲わなくてはいけないから。」
「形?」
「直ぐにでも、婚姻届けだけでも出したい。式も必ず行う。スミレのドレス姿見たいから。さ、そろそろ身体も冷えるから屋敷に戻ろう。」

浮足立つ彼は、本当にそのままルキウス様に報告に行ってしまった。早まったのかも・・・そんな思いをしながら、私は何とも言えない時間を過ごした。

翌朝、ルキウス様は穏やかに彼との事を喜んでくれた。何か、「しっかり囲え」なんて、不穏な声が聞こえたけれど、反対された訳ではないので一安心した。

その日の内に、何処かに外出していた彼が私に一枚の紙を差し出した。

「婚姻届け・・・。」
「私の方は書いたから、スミレもサインして。」

証人欄にも、既にルキウス様のサインがされていた。もう囲われてる・・・気付いた時には、婚姻届けは完成していて直ぐに提出された。

私が推しの嫁になった。なってしまった。私が人妻。

「結婚式は半年後。明日から準備に入るから。」

彼は意気揚々としてはこれからの計画を話してくれた。凄く嬉しそうだ。

「そうだ、部屋も整えないと。」
「部屋?」
「夫婦になったのだから、同じ部屋じゃないと。」

あ、私のどこか旅にでも出ていたらしい羞恥心が全力でお迎えする羽目となった。

「父上からも、夜伽は構わないが出来る限りスミレの美しいウエディングドレス姿を見たいなら、子を成すのは式の後だと言われている。」
「よ・・・夜伽・・・。」

意味を知らない訳じゃない。でも、行動力が半端ない。

「あ、あの・・・。」
「式までお預けっていうのは却下。私はスミレを愛しているし、直ぐにでも愛し合いたい。大丈夫、最大限に配慮はするし後悔はさせない。」

逃げ道なんて当の間になくなっていた。



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