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その琥珀色の瞳に映るのは・・・

第3章 憎い相手を思い浮かべて?


名残惜しそうな目を向けるイアンさんに、そんなに?と思いつつも、ルキウス様が王城から戻って来たのでディナーの時間となった。

あぁ、今回もお二人は皿を持ち上げ色んな角度でチキン南蛮を見ている。そして、我に返ったらしく美しい所作で切り分けたチキンを口に入れて・・・口元を手で覆っていた。

あ・・・色っぽい吐息が聞こえた。まぁ、気に入ってくれた様で何より。さて、私も・・・と、チキンを口に入れて「ん?」
いつもより美味しいと自画自賛する。

何か、ゲームで経験値が上がって、バージョンアップしたかの様な状況だ。まさか、ステータスとか出るのか?と、思ったけれど、それは出てはこなかった。

それに、ルキウス様には初対面のバターロール。あれ?何やら苦悶に満ちた顔をしている?

「生きてて良かった・・・。」

そんなにっ!!?と、思ったけれど口にはしなかった。

「スミレ、その・・・今回も量はこれだけか?」
「えっ、あ、そ、そうですね。」
「そうか・・・そうだよな。もっと、味わって食べれば良かった。」
「私も同じ気持ちです。」

二人揃ってションボリしている。

「あの・・・この料理は食べ過ぎると胸やけしますし太ります。お二人がぽっちゃりなんて姿、私は見たくありません。」

二人揃って、納得してくれた様だ。それに、今日はデザートも作ったんだ。手始めはプリンだよね。ってことで、振舞ったのだけど・・・あら、二人って甘いもの嫌いだっけ?なんて、不安に思っていると・・・チビチビと味わって食べていた。

この世界のデザートは基本的に果物メインだ。焼き菓子程度はあるけれど、嗜好品だからかあまり見られない。お店など専門店に行けば、食べられる様だけど。

そして、今晩も食べ過ぎた私は夜のお散歩に・・・やはりと言うか、彼も付いて来た。手は握り締められている。

今日はちゃんとショールを羽織っている。彼に風邪をひかせるわけにはいかないから。

「こちらの世界は、月が二つあるから夜も明るいですね。」
「貴女のいた世界には一つでしたね。」
「はい。」

月を見上げた私に、ポツリと彼が呟いた。

「・・・元の世界に戻る方法が無くて良かったと言えば、貴女は怒りますかね。」
「えっ?」
「いえ、何でもありません。ただ・・・貴女が恋しくて片時も離れたくないと思っていただけです。」
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