第12章 永遠
「生まれ変わっても、僕は留美子とまたこうして出会いたい。永遠に僕の傍で笑ってて欲しい。」
「うん、私も同じ気持ちだよ。ずっと、永遠に一緒にいようね。約束だよ?」
「うん、約束。」
暫く、教会を眺めた後、私たちは散策を再開した。
一か月という休暇は、思った以上に充実していてそしてあっという間に終わってしまった。今は、日本に戻り旦那様の久々の出勤である。
長兄は、旦那様と会えるのを凄く楽しみにしているだろう。前日の夜、電話を掛けて来て絶対に会社に出社してとお願いするくらいに。
でも、旦那様は愛想もなく返事も短め。無理もない。だって、夫婦の時間の最中だったんだもの。私を組み敷いて愛を囁いている最中の電話だ。それも、電話に出るまで続いた着信音。
今後、何かの切っ掛けで義兄となった社長が、私を敵認定さんかした日が来たら・・・間違いなく、旦那様によって義兄は三行半を叩きつけるのだろうな。
「何か、考え事?」
「侑佑くんのことだよ。」
「僕の事?それは嬉しいなぁ。どんなこと?」
「昼間のお店の女性定員からの、注目度が凄かったなぁって。」
「そうだっけ?僕は留美子しか見てなかったから、全然気付かなかった。」
うん、知ってる。あの溢れんばかりの笑顔は、私にだけ向けられたものだ。まぁ、それを見た女性定員たちは黄色い声を上げていたけれど。
「ねぇ、明日は会社に行くのでしょ?そろそろ寝た方が・・・。」
私の進言に、旦那様は何か考えて直ぐに微笑みを浮かべた。
「大丈夫だよ?」
「えっ?」
「留美子は優しいなぁ。僕のことを気遣ってくれたんだよね?でも、僕は留美子を愛したいし、そうした方が元気だから。だから・・・もう少し、僕の我儘を聞いて僕に愛されて?大丈夫、留美子と愛し合った方が僕の活力になるんだから。さ、僕に集中して?」
深く口付けをしては、旦那様の愛撫が始まる。
翌朝、目覚めた時には目の前に旦那様の寝顔があった。寝姿さえも美しい。そっと頬に触れると、薄っすらと目が開きとびきりの笑顔を見せてくれた。
「おはよう、留美子。」
「おはよう、侑佑くん。」
朝から、ギュウギュウと抱き締められる。
「ハアッ・・・会社、行きたくない。こうやって留美子を抱き締めていたい。」
「お義兄さんと約束したんでしょう?約束は守らなきゃ。」