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好意は好意のままでは終わらない

第10章 マウント


「えっ?大吉だ・・・見て、侑佑くん。」
「良かったですね。あぁ、僕も大吉です。」

いそいそとおみくじをお財布に仕舞い込む。

「侑佑くんがいるからかなぁ?運を貰ったのかも。」
「そう言って貰えるのは嬉しいです。さ、身体が冷えて来ましたし、甘酒でも飲みに行きましょう。」
「うん。」

テント内にある甘酒を打っている場所へ行くと、不意に声を掛けられた。

「留美子っ!!?」
「えっ?あっ、美月?えっ?甘酒の売り子してたの?」
「うん。ウチの旦那の店で作ってるものなんだよ。」
「じゃあ、お母さんにチケット渡したのって・・・。」
「私だよ。留美子のお母さんから、帰って来るって聞いていたからね。留美子、甘酒好きだったでしょ?それで、こちらが婚約者さん?初めまして、留美子とは小学校からの付き合いの稲本 美月です。」
「初めまして。僕は、留美子さんの婚約者の高倉 侑佑です。今回は、僕もご馳走になります。ありがとうございます。」
「礼儀正しい人ね。これじゃ、厳しい留美子のお父さんも気に入る訳だわ。それに、聞いたわよ?恵美子ちゃん母娘、撃退したんだって?」
「あ~、地元ネットワーク恐るべしだね。」

田舎では、大抵の人が皆顔見知りだ。

「アハハ、そうかも。でも、昔っから留美子のこと小馬鹿にしてたでしょ?だから、それを聞いてスッキリしたよ。」
「私が直接、撃退した訳じゃないんだけどね。」
「だからこそ、安心したわよ。あの性悪な恵美子ちゃんの毒牙にやられない人なんだって。あ、ごめん。そこに座って?直ぐに甘酒持って来るから。」

慌ただしく、行ってしまった幼馴染。少し引っ込み思案だった私を、いつだって明るく接してくれていた大事な友人の一人だ。

「素敵な方でしたね。」
「うん。いつも明るくて、優しくてね。いつだって、留美子を虐めるなって恵美子に言ってくれてた。」
「これからは、その役目は僕が担いますから。」
「ありがとう。でも、恵美子の事は大丈夫だと思う。」

多分、心折られてるだろうし。

「留美子さんを守るのは、僕の役目です。だから、安心して僕を頼って下さい。」
「うん、お世話になります。」
「今回、無理を言って付いて来て良かった。色んな留美子さんを見られて、僕は幸せです。」
「フフ、ご馳走様。ホント、ラブラブだね。お二人さん。」
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