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好意は好意のままでは終わらない

第9章 冬期休暇


「そ、そうか。相手がこんな美形だから、留美子ちゃんも引き止める為に必死過ぎ。」
「違いますよ。僕が必死なんです。留美子さんを独り占めしたくて。僕は心の底から、留美子さんだけを愛していますから。」

もう、止めてあげて・・・。従姉妹の恵美子なんか、涙目になっているから。どう私を乏そうとしても、彼に全て返り討ちされている。

「そ、そうなんだ。でも、昔からウチの恵美子の方がモテていたわよね?ホラ、留美子って真面目が服を着て歩いているって言われてたくらいだもの。それに、都会で住んでても垢抜けないままだよね。」

今度は、叔母の攻撃か。しかし、彼は笑顔を絶やさない。

「良かった・・・僕以外が留美子さんに手を出そうものなら、家に閉じ込めて一歩も外に出させないところでしたよ。」

彼の薄暗い笑みと、瞳孔の開いた顔に叔母は畏怖を覚えた様だ。

「じ、冗談よね?」
「フフ、さぁどうでしょう?」

今度は、叔母が涙目だ。

「侑佑くん、次のお料理が用意出来たわ。」
「は~い、お義母さん。直ぐ行きますね。」

人の良い笑みを浮かべては、キッチンへと戻って行った彼。

「留美子ちゃん・・・あの人、ちょっと怖い。そう思わないの?」
「そうかなぁ?そう思った事は一度もないけど。」
「留美子への執着が怖い。」
「失敬な。彼はアレくらいでいいんです。そうじゃないと、あんな美形なんですよ?そうじゃなきゃ、私の方が神経磨り減りますって。」
「そ、それはまぁ・・・そうなの・・・かな?」
「私が言うのもアレですけど、私と仲を引き離そうとした今までの猛者たちは、全て彼の手腕と人脈で木っ端みじんにされましたから。」
「留美子ちゃんは、それでいいの?」
「あんな美形が、毎日私を好きだって言ってくれるのよ?何の文句があるって言うの。普段からマメだし、家事も率先してやってくれるし、私にはとびきり優しい。」
「留美子ちゃん・・・何か、振り切れてる。」
「アハハ。そうかも?でもね、私はどんな彼でも信じてるから。一人の人としてね。」

「フフ、それは光栄だね。留美子さんの信頼を違えない様に、これからも尽力するから。有難うね、こんな僕を愛してくれて。僕も留美子さんだけを愛してるよ。」

彼の手には、今度は盛沢山の野菜サラダと海老の炒め物。何か、締まらない。でも、イケメンだ。



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