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好意は好意のままでは終わらない

第9章 冬期休暇


「あ、この海老・・・。」
「気付いてくれた?お義母さんが僕に任せてくれたから、留美子さんが好きな炒め物にしたんだ。」
「ありがとう。」
「留美子さんの喜ぶ顔が見られるなら、僕も嬉しいよ。あ、そうだ。お義母さんに青菜の和え物を教えて貰ったから、帰ったらまた作るよ。好きなんだよね?」
「うん。」
「フフ、留美子さんが可愛い。大好きだよ。」

あ、気付いた時には額にキスされていた。まさかの西洋のスキンシップをここで披露されるとは思ってもみなかった母娘は顔を赤くして震えている。

「もう少しで終わるから、待っててね。そうだ、お義父さん達そろそろ呼んで来てくれる?」
「分かった。」

料理が揃った時には、母娘は帰ってしまった。砂糖を吐くと言って・・・。

家族水入らずの団欒は楽しくて、すっかり彼も南野家に馴染んでいる。

「留美子、明日は初詣に行くんでしょ?」
「うん、そのつもり。」
「これ、甘酒のチケット二枚。留美子好きでしょ?」
「ありがとう。あ、侑佑くんは甘酒ってどうかな?」
「僕も好きだよ。僕の分までありがとうございます、お義母さん。」
「いいのよ、侑佑くんはもうウチの子同然なんだから。ね?お父さん。」
「あぁ、そうだな。侑佑くんは、ウチの子だ。」
「じゃあ、俺の弟になるのか。」

皆がニコニコして、和んでいる。食事の後は、皆で団欒の後は彼と私の部屋で過ごした。


翌朝、お正月の挨拶をしてから、私たちは早々に初詣に出掛けた。

「ねぇ、留美子さん。もし、僕が一緒じゃなかったら、誰と初詣に行くつもりだったの?」
「友達の誰かに声掛けてたかな。」
「友達・・・。」
「みんな女性だよ。」
「そう・・・でも、心配だな。」
「侑佑くんの方こそ、気付かない訳ないよね?さっきから、人の目を集めているのは。」
「僕は留美子さんしか見ていないから。」

そういう人だったね・・・。

「侑佑くんの方こそ、初詣はどうしてたの?」
「ウチは兄弟で行ってたかな。それはそれで、面倒だったけれど。」

そりゃあ、あの美形兄弟が練り歩くんだよ?人の目集めるよね?間違いなく。

「大変だっただろうね。」
「まぁね。でも、僕には兄さんたちがいるから。」

ガードしてくれていたんだろうな・・・。特に社長が。


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