第2章 愛情ゲージ
「ごめんね、我慢出来なかった。」
「もうっ、しょうがないなぁ。」
「そう言って、いつも許してくれるんだよね。さ、時間だから行こうか。」
仕事中も彼の匂いや温もりに包まれている様な錯覚に陥りながらも、仕事を頑張った。後輩は、出社していた。あんな事があったから、今日は大人しい。そう言えば、メールの内容・・・。
私の陥れる内容も含まれていたのだろうなぁ。それを分かっているであろう私を気遣って、昨晩の彼はあんな・・・。うううっ、美男子が優しくて辛い。
「・・子?留美子?」
「えっ?あ、澄子さん。」
「凄い形相で仕事していたけど、大丈夫?あの美男子彼と喧嘩でもした?それはそうと、お昼の時間・・・。」
背後に気配を感じて降り開ければ、後輩がそこに立っていた。
「南野さんはズルいです。あんな美男子と付き合っているのなら、あの男なんて要らなかった。私だってあの美男子の方がいいです。だから、あの男は南野さんに返してあげますから、あの美男子をください。」
唖然とする私たち。何を言っているんだろう?あんなに嫌われていると分かっているだろうに。
「素敵な男性は私のものだと決まっているんです。だから、あの男と復縁してあの美男子は私が貰います。」
私は思わず失笑した。
「好きにしたら?」
「何それ、自分が優位にでも立っているつもり?ババアが、年下の美男子に言い寄って気持ち悪いんだよ。」
「言葉は正しく使わないと。貴女が言うババアに言い寄るなんて、気持ち悪いって。」
そこで、爆笑したのは澄子さんだった。
「アハハ、久しぶりにこんなに笑ったわ。これ見てよ。今の貴女の素敵な顔よ。」
澄子さんのスマホには、性格の悪さが滲み出た写真が収められていた。それを見て、益々顔を歪める。
「あの美男子が選んだのよ?私は見る目あると思う。だって、もっと他に気に入った相手が出来たら今言った様にあっさり捨てるんでしょ?ねぇ?好きでもない男と付き合って貴女は何がしたいの?」
「うるさいっ!!私は選ばれた存在なの。あんた結婚してるんだっけ。その旦那を奪うのだって簡単なのよ。どうせ大したことないブ男でしょうけど、偉そうなあんたを泣かせる為に奪ってあげようかしら。」
またしても、澄子さんは笑う。