第2章 愛情ゲージ
「ねぇ、どうして今まで社長からの仕事を請け負わなかったの?」
「ん?あぁ、見世物になるし勘違いした女性から纏わりつかれるのが面倒だから。家で遣れることはやっていたんだけど、煩わしいのが嫌だったし、兄さんの会社で揉め事起こしたくなかったから。」
あんな場所であんな事言ったのに?
「さっきの事は、ちょっとした仕返し。僕と留美子さんとの貴重な時間を削ろうとしたんだよ?許されないでしょ。それに・・・元カレの相手、あの子だって分かったから。」
「それって、メールを見たから?」
「一時間の間に、30通のやり取りの履歴なんかあったら不信だと思わない?切っ掛けはそれ。でも、結果的に色々知れて良かったよ。今回は見逃してあげたけれど・・・留美子さんに何かしたら許すつもりはないから。」
「危ない事とはしないでね?」
「僕を心配してくれるの?嬉しいなぁ。そうそう、あのメールのやり取りだけど、兄さんに見せておいたから。」
見逃したんじゃなかったの?
「一応は会社の社長だからね。包み隠さず、エロい話題も全て見て貰ったよ。」
何やってんのよ、あの二人。
「PCを立ち上げた画面に、あのやり取り貼ったら面白いかもとは思ったんだけどそれは止められた。」
「侑佑くん・・・怒ってる?」
「怒る?まぁ、確かに凄く不愉快だった。留美子さん?」
「何?」
「僕は留美子さんが好き。留美子さんは僕のもの。だから、余計なものは排除する。」
それは初めて耳にする、酷く冷えた声だった。
「わ、私も腹は立っていたけど、その事で侑佑くんが法を犯すなんて事は嫌だからね?」
「大丈夫だよ、僕には弁護士をしている兄もいるから、ちゃんと法に触れない遣り方にするから安心して。」
「えっ?お兄さん、もう一人いるの?」
「うん、いるよ。実質、三人だけど。社長が長男。弁護士が次男で小説家が三男。僕は末っ子。因みに、次男と三男は双子なんだ。」
末っ子の彼、可愛がられているのだろうなぁ。社長も、何か彼に甘々だったし。
「それで、今晩なんだけどさ・・・ちょっと、気持ちが高ぶってて・・・夕飯の前にいいかな?帰るまでしか我慢出来そうにない。」
何ってことを、ここでカミングアウト?
「それに、留美子さん・・・僕のスーツ姿気に入ってるよね?さっきから、チラチラ見てるし。」
バレてた!!
