第2章 愛情ゲージ
翌週の昼下がりの社内。
澄子さんとランチから戻って来ると、女性陣が何やら騒がしい。あの後輩ですら、浮足立っている程だ。あちこちから、「凄い美男子!!」の声が聞こえてい来る。
そして、その噂されている人を認識した私は目を丸くした。だって、そこにいたのは今朝行って来ますと言って分かれたばかりの彼だったから。いつものラフな装いじゃなく、カッチリしたスーツ姿。
その彼が私を認識すると、これまた極上の笑顔を浮かべた。女性陣の黄色い声が上がる。そんな状況を気にもせず、私の元へと駆け寄って来た彼。
「ここにいたんだ、留美子さん。」
「ど、どうしてここに?」
「今回は、企業に行くって言ったでしょ?」
「確かに、それは聞いていたけど。」
「留美子さんを驚かせたくて、内緒にしていたんだ。驚いた?」
「そりゃあ、もう凄く驚いたよ。」
そんな私たちの会話に割り込んで来たのは、後輩の相良だった。いつもの甘えた声で、彼に話し掛けている。
「あの~、私、さがっ「留美子さん、暫くここに通うから明日からは一緒に僕の車で通おうね。」
あぁ、彼が話しをぶった切った。それを見た澄子さんが小さく噴いた。
「毎日送り迎えしたいって言ったのをダメって言ったんだから、これくらいはいいでしょ?」
「えっ、そ、それは・・・。ちょっ「南野さんとお知り合いなんですか?」」
後輩もめげないなぁ。
「僕の可愛い留美子さんが喋ってんだろ。黙れよ。」
その一言に、空気が冷えた。
「留美子さん、僕のお願い聞いてくれるよね?この前は僕が折れたんだから。」
「お、ここにいたのか。」
新手の参加者登場。そして、それはわが社の社長だった。
「俺とのランチが終わったら直ぐに飛び出していったかと思ったら・・・。で、どっちだ?」
どっち?そう言えば、彼の傍には私と後輩がいる。それを見て、そう言ったのだろう。
「兄さんの目は節穴なの?留美子さんに決まってるじゃないか。あぁ、余計なことしたら二度と仕事請け負わないからね。」
「分かったから、そんな怖い目で俺を見るな。兄相手にも容赦ないな。」
兄っ!!?きっと、周りの誰もが思っただろう。
「南野さん、ウチの弟が世話になってるね。ずっとウチの仕事を断られていたんだけど、南野さんに会えるならって初めて承諾してくれたんだ。本当に感謝しているよ。」
