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好意は好意のままでは終わらない

第2章 愛情ゲージ


「炊き込みご飯っ!!」
「留美子さん、好きだって言ってたから。」

土鍋から立ち上る湯気が、余計に空腹を報せる。そう大量じゃないけれど、数種類の料理がテーブルに並べられる。料理の美味しさに打ち震えながら、全てを完食。

「食後のデザートにロールケーキがあるんだけど、食べるよね?」
「喜んでっ!!」

何処かの店員の様な返事をすると、フルーツが散りばめられたロールケーキを用意してくれた。直ぐに口に運ぶ。

「侑佑くん、このロールケーキってまさか?」
「うん、昨晩テレビで出てたお店のものだよ。丁度、そっちに用事があったから買っておいたんだ。」
「ありがとう。凄く嬉しい。」
「僕も留美子さんに喜んで貰えて嬉しいよ。」

そんな風に言われたことなんて、初めてだ。どうして、彼はこんなにも尽くしてくれるのだろう?ちょっと、感動で涙が出そう。

「あ、じゃあ、仕事は目途が付いたの?」
「うん。何とかね。」

彼はフリーのプログラマーらしい。たまに電話が掛かって来ては、仕事の話しをしている。それに、部屋にあるPCの設備は詳しくない私が見ても凄いと思うほどだ。

「次は?」
「来週から、企業に出向いての仕事だよ。」

どうやら、彼は売れっ子らしい。そう言えば、彼は私の三歳年下の二十五歳だった。遊びたい盛りだろうに、あまり出掛けたりはしない。それでも気安く電話で話している人がいるから、仲のいい人はいるのだろう。


今の毎日は本当に幸福で極楽だ。

「留美子さん、何か機嫌良さそう。いい事でもあった?」
「侑佑くん・・・。」
「うん?」
「毎日、色々ありがとうね。元々、全て私がやっていたから、今は楽させて貰ってる。」
「どういたしまして。僕は家事が嫌じゃないし、出来る人がやればいいと思ってる。それに、どちらかが一方的に我慢を強いるのなんて可笑しい。僕としても、ゆっくりする時間があれば留美子さんとイチャイチャ出来るから問題ないよ。」

イチャイチャ・・・そう、距離感が近い。それはいつも同じ事をしているのではなくて、違う事をしてもいつも彼が傍にいる。本を読んでいる私の隣りで、テレビを見ている彼。そして、何気ない合間に抱き寄せられキスされる。

それに、夜の生活も何と言うか・・・潤いがあって、あんな切っ掛けの出会い方なのに、もう馴染んでいる。
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