第3章 🍀 ̖́-
「君の論文見たよ、君のように美しいまとまりと優しい内容に心を奪われたさ」
「ありがとうございます。読んでいただけて光栄です」
プラターヌは彼女の長い髪先を手に取ると、彼女の顔をのぞき込みながらニヒルに笑んだ。
「明日まで滞在しているんだが、
今夜食事に誘ってもいいかな…?
僕の研究について聞いて欲しいことが…」
そこまで話したところで突然、2人の間を走り抜けたクスネに、ユウリは足を取られ、思わず吹き抜けの階段から足を踏み外してしまう。
(あ、落ちる…)
と思った瞬間ギュッと目を閉じるユウリ。
が、思っていたような衝撃は来ず、恐る恐る目を開けてみるとダンデの腕の中にすっぽり収まっていた。
「大丈夫か?」
「あ……え…ダンデ…さん?……」
見上げると、すぐそこにダンデの顔があり、突然のことに緊張より先に驚きが出る。
「大丈夫かい?」
「あ…はい…」
現実かどうかの区別もつかぬまま返事をすると、
ダンデはプラターヌを見上げ、いつものような笑みも浮かべずに口を開く。
「悪いな」
それだけ言うと、彼はユウリを横抱きにしたまま階段を降り、何も言わずにエレベーターに乗り込んだ。