第4章 🌵
大きな家の門前でダンデの姿を探すが当然見当たらない。
住所をもう一度確認してからインターホンを鳴らすと、焦った様子のダンデがドアを開け、駆け寄ってきた。
「ごめん、片付けをしていて気が付かなくて…待たせたかい?」
そっと肩を抱かれ、心配そうに顔をのぞき込まれる。
「君が来ると思うと、ここもあそこもって汚れが気になって」
少しだけ照れくさそうに笑う彼に、警戒…に近い緊張していた気持ちがほぐれていく。
ダンデの大きくて暖かい手に引かれ、ドアをくぐれば、広い玄関と大きい廊下…。
ダークオークと大理石の落ち着いた雰囲気でまとまっている。
通されたリビングも濃いブラウンを基調としていて、ガラル調の壁紙が美しい…。
座るように促されたソファーは柔らかな革張りで、ユウリは初めて男の人の家に上がるということより、モデルルームのような家に感嘆しつづけていた。
ダンデはいつものジムバトル用の服ではなく、大きな体に合う、くすんだ紫のセーターに、黒に近いダークグレーのジーパン合わせていて、いつもよりカジュアルな雰囲気だ。
「仕事が終わるのはいつもこれくらいなのか?」
問われ、ユウリはハッと現実に戻された感覚になった。
「あ、は、はい。だいたい定時でおわります」
渡された紅茶を受け取りながら答えると、ダンデはそのまま隣に腰掛けた。
「君の家の方が近かったかな?わざわざきてもらって悪かったね」
「いえ、私は丘を越えたところに家があるので、こちらの方が近いです」
「そうか」