第2章 🌿 ܸ
リザードンが放ったダイジェットが相手を飲み込み、決着がついた。
「リザードン、お疲れ様。
ありがとうな」
ダンデはリザードンの頭を優しく撫でると、ボールに戻した。
「強いな。さすが最強のジムリーダーだ」
「はっ、勝っておいてよく言うぜ」
笑っていたキバナの視線がユウリに向けられた。
彼は今彼女に気がついたようで、驚いたように目を見開く。
「お、おい!ダンデ。
その子ってまさかお前の…彼女か!?」
驚くキバナに対し、ダンデは「あぁ…彼女は」とユウリを手招きした。
「ユウリさんだ、ポケモン総合医療センターで薬学の研究をしている」
「は、はじめまして…」
ユウリは恐る恐る挨拶をする。
「あ、はじめましてー…ってそうじゃなくて
その子はお前の彼女なのかって聞いてんだよ!」
ユウリは、口をぱくぱくさせて何か言いたげにしているが、キバナに対して持ち前の人見知りを発揮してしまい何も言えずに俯いた。
代わりにダンデが応える。
「いや、彼女は友人だよ」
ダンデの言葉に、ユウリはほんの少しだけ胸が痛むのを感じた。
(いや…そうだから…そうなんだけど…)
「あ、あの…ダンデさん
見学させていただきありがとうございました…これ、マントです。」
「あぁ、ありがとう」
「私はこれで…裏に戻ります…あの、失礼します」
ユウリは一度もダンデとキバナの目を見ることなく、ペコと頭を下げてスタジアムの出口から逃げるように走っていった。