第1章 不思議な靄
紡side
「おはよー!紡ー!」
「おはよ!稑くん!……と琉己くん。」
「おはよ。」
2人一緒に登校してきたようだ。
本当に仲がいい。
「聞いてよ紡!昨日俺の家で琉己とゲームしたんやけどさ!全然手加減してくんないの!俺がゲーム弱いの知ってて!」
「俺悪くない。」
「あはは……楽しそうだね。」
どういう反応したらいいんだろうか。
2人は仲がいいんだろうけどやっぱり友達よりも深い関係のように感じる。
「……2人はいつから一緒なの?」
「俺らは小学生から。途中からクラス一緒で仲良くなって。だったかな?」
「そうやったか?」
琉己くんは覚えて無さそうだ。
あまり興味無いのかな。
「あ!そうだ!ねぇ稑くん。僕と同じくらいの背丈で綺麗な顔立ちの子って知ってる?えーっと睫毛長くて、肌が白くて、髪の毛は茶髪なんだけどくせっ毛だったかな。だぶん同い年くらいなんだけど。」
そんな話をしていると琉己くんが驚いた顔をした。
心当たりがあるのだろうか。
「左目の下辺りにホクロがあったかな。」
「……さぁ……知らんな。」
稑くんは左右に首を振った。
「琉己くんは?」
「……どこかで見たんか?」
「夢に出てきて……」
「……実際に見てないから知ってるとは言えんけど……似たような人なら知っとる。」
「ほんと?!名前って……っ!!」
名前を聞こうとした途端、琉己くんの後ろからあの黒い靄が出てきた。
どうして今?
墓地に現れるんじゃないの?
琉己くん……一体何に取り憑かれて……
「?どうしたん?」
「な、なんでもない!ごめん!トイレ!」
激しい吐き気がしてトイレへ駆け込む。
まただ。
あの黒いのは何?
悪いものなのは確かだ。
でも正体がわからない。