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【R18】消えた君

第5章 楓純


紡side

それから僕と琉己くんは付き合うことはせず、ただ友達の関係を続けた。
お互い好きだという気持ちは隠さずに過ごし、半年が経とうとしていた。
あれから何度か琉己くんの元に黒い靄は現れたが僕に危害を加えることは無かった。

「少し冷えてきたね。」

「そうやな。風邪気をつけろよ。」

最近は琉己くんと2人で下校するようになった。
稑くんもたまに一緒だが、今日は用事があるからと先に帰ってしまった。
一瞬、背筋が凍った。
1つ先にある木の影に何かいるのを感じた。
良いモノではなさそうだ。
強い念のようなものを感じる。
思わず歩みを止めてしまい琉己くんも心配したかのように僕の顔を覗いた。

「……いる……のか?」

「うん……良くないものだと思う……」

怖くなって手に力が入る。
それに気づいたのか琉己くんが手を握ってくれ、僕と反対側を歩いてくれた。

「これで木の方歩かなくていいやろ?それでも怖いなら俺の背中で顔隠しときや。」

その優しさに僕は甘えてしまい、琉己くんの背中に顔を埋めた。
凄く暖かくて優しい香りがした。
僕の手を引いてゆっくり歩いてくれる。

「通り過ぎたら教えて?」

「……わかった。」

僕と琉己くんは歩幅を合わせてゆっくり歩いた。
まだ通り過ぎていないのだろうか。
長い気がする。
ゆっくり顔を上げると既に後ろの方に通り過ぎていた。

「あれ……琉己くん?」

「あー……もうしばらくこうときたくて……//」

顔は見えないけど耳が赤くなっていた。
その言葉が嬉しくて僕はもう一度琉己くんの背中に顔を埋めた。

「僕も//」

恋人同士ではないけど特別な関係。
こんなにもドキドキするなんて。
本当はデートしたり、キスしたり……それ以上のことだってしたい。
でも今はまだできない。
早く解決しないと。
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