第4章 呪いと想い
紡side
その後も僕は琉己くんと会話することなく1週間が経った。
あれから黒い靄が夢に出てくる事はなく、少しずつ体調も戻ってきた。
最近寝不足が続いていたから目眩が酷かった。
「それじゃ、この資料を化学準備室に持って行ったら帰っていいよ。日直お疲れ様。」
「はい。」
今日は日直だった為、日誌を書いて担任教師に渡しに来ていた所だった。
意外と仕事が多く、下校する時間も18時前になっていた。
頼まれた資料を化学準備室に持って行き、教室に戻ると琉己くんがいた。
「やっと戻ってきた。」
待っていたのか、僕の席に着いていた。
荷物を持って戸締りをしたいのに琉己くんが居るんじゃ帰れない。
「なぁ、お前「ぼ、僕まだ仕事あるんだった!」」
琉己くんの話を遮るように僕は教室から出ようと扉に手をかける。
それが分かっていたのか、琉己くんは急いで僕の元へ駆け寄り少し廊下に出ていた僕の体を教室の中へ引き戻した。
その力に勝てず僕の体は教室の中へ戻り、扉が勢いよく閉められる。
そのまま僕の体を扉に当てて、逃げられないように琉己くんは両手で逃げ道を塞ぐ。
これじゃまるで壁ドン状態……じゃなくて!
まずいまずい!
もう関わらないって決めたのに!
僕は逃げようと琉己くんの両肩を抑える。
その手も簡単に退けられ、琉己くんは僕の両手を片手で掴み頭の上で抑え込まれてしまった。
「琉己くん……離して//」
さらに逃げないように僕の股の間に琉己くんの左膝が入れられる。
このままじゃ本当に身動きが取れない。
「うっ//」
逃げようと動くと琉己くんの膝が僕の太腿に擦れ少し感じてしまった。
逃げないと。
このままだとまた……
「琉己く……ん//」
逃げることを考えていると琉己くんは僕の唇にキスをしていた。