第3章 邪魔者
紡side
稑くんの家から帰り着き風邪をひかない様に急いでお風呂に入った。
入浴中も頭の中が真っ白で上の空だった。
お風呂から上がり、充電器に繋がれたスマホを見る。
通知が来たのか画面が光っている。
稑くんと琉己くんからだった。
稑くんからは僕を心配するような内容だった。
『無事に帰れた?体調悪いん?何かあったん?』
通知だけ見て開くことなく僕はそのメッセージを無視してしまった。
琉己くんからは謝罪の文が届いていた。
『ほんとにごめん。勘違いしとった。ちゃんと謝りたいから明日電話できんか?』
僕はそのメッセージも無視をしてしまった。
友達として最低かもしれない。
でも声も聞きたくない。
そっとしておいて欲しい
僕は疲れてそのままベッドに仰向けになり大の字で眠ってしまっていた。
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『……に……くな……』
暗闇から声が聞こえる。
言葉が上手く聞き取れない。
もう一度声を聞こうと耳をすませる。
『る……にちか……くな……』
「誰かいるの?」
『琉己に近づくな』
その言葉が聞こえたと同時に呼吸が出来なくなった。
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「うっ……ぐっ!」
目が覚めると目の前に人の形をした黒い靄が僕の上に馬乗りになっていた。
苦しい。
首を絞められている。
黒い人影は顔が全く見えない。
「かふっ……やめっ……!」
呼吸が上手く出来ず涎が流れ出てきた。
この靄が琉己くんに憑いているものと一緒だとすぐに分かった。
先程夢の中に出てきたのは本物だったんだ。
「わかっ……た……もう……近づかないっ!ごめんっ……なさっ!」
僕が謝るとその靄は消えてしまった。