第3章 邪魔者
紡side
結局、無理矢理稑くんに連れてこられた。
あれから琉己くんの顔が見れない。
絶対引かれた。
嫌われた。
さよなら僕の初恋。
そして現在、琉己くんと2人きりで稑くんの部屋にいる。
琉己くんは先にお風呂に入っていて既に眠そうだ。
僕の隣でウトウトしている。
今にも倒れそうだ。
「琉己くん、眠いなら横に……」
「ん……うん……」
琉己くんは眠そうに目を擦りながらフラフラとしている。
こんな姿初めて見た。
可愛い。
「琉己くん危ない……っうあ!?」
体を支えようと琉己くんに触れた時、僕の体に全体重がかかり琉己くんが倒れてきた。
僕は頭を軽く打ち、琉己くんは僕の上に乗っかる。
「いった……る、琉己くん!ちょっ//」
近い……
近すぎて心臓が持たない。
「……りく……?」
「え?」
りく?
稑くんのこと?
勘違いしてる?
琉己くんの顔が少しずつ近づいてくる。
「りく……」
「まっ……!?//」
僕の唇に琉己くんの唇が触れる。
驚いて思考が停止する。
え?
なんで……キス……?
ゆっくりと琉己くんの舌が入ってくる。
こんなの初めてだからどうしたらいいか分からない。
「んっ……あっ……まって……るいく……ん//」
「りく……」
「ちが……ぼくはっ//」
稑くんと勘違いしている。
これって……稑くんの事が好きって事?
じゃないとこんなこと……
「るいくん……ちが……//」
「……か……る……」
?
今なんて……よく聞こえなかった……
僕の頬に暖かい雫が落ちてくる。
汗?
よく見ると琉己くんの涙だった。
泣いてる。
どうして……
琉己くんの涙を拭き取ると安心したかのように僕の上に倒れ込み、眠ってしまった。
悲しそうな顔だった。
あんな顔するんだ。
でもどうして……さっき琉己くんなんて言ったんだ……
「っ!?」
琉己くんを胸に抱き考えていると黒い靄が出てきた。
僕は驚いて琉己くんを突き放した。
久しぶりだ。
どうしてこのタイミングで?
黒い靄は僕に何をする訳でもなく、ただ琉己くんの背後に漂っている。