第3章 邪魔者
紡side
確かここの本屋が学校から1番近くて琉己くんの帰り道途中に当たる所。
僕は雨が降る中傘を差して本屋へ歩いた。
本屋の前には制服を着た琉己くんが立っていた。
やっぱり傘が無くて帰るのに困っていたようだ。
声をかけようと駆け出す。
「「琉己くん!/琉己!」」
誰かと声が被る。
驚いて声のした方を見ると稑くんがいた。
稑くんも驚いた顔をして傘を片手に持っていた。
「紡?なんでここに……」
「り、稑くん!?」
琉己くんは僕たちの声に反応してこちらを見ていた。
僕たちは琉己くんの方へ向かい、傘を閉じて本屋の屋根の下へ入った。
「稑ありがとう。大変やったやろ。」
「ううん!全然!心配やったしこれくらいなんとも!けど……なんで紡も?」
「ぼ、僕は……」
恐らく稑くんは琉己くんを迎えに行く予定で連絡を入れていたのだろう。
だから琉己くんも稑くんが来ることは知っていたんだろう。
2人とも頭の上にハテナを浮かべている。
心配で会いたくなったから会いに来たなんて……言えない。
「どうした?紡顔赤くなって……」
「えっと……その……琉己くんに……会いたくなって……っ!じゃなくて!そのっ……//」
焦って言葉が飛んでしまった。
勘違いされちゃう……
「そっか……」
琉己くんは口元を手で隠し俯いた。
気持ち悪いって思われちゃった。
最悪だ。
「僕……帰るね!ごめん!急に来て!」
「あ、待って!」
稑くんが僕の腕を取って引き止める。
「今日は俺の家に泊まらん?雨も酷くなってきたしこのまま帰るのも大変やろ。琉己は家に服あるし、紡は俺の貸すよ。」
有難い話だけれどこの状況じゃ恥ずかしすぎる……
「でも……」
「いいから来なよ。」
「え、待って……」