第1章 不思議な靄
紡side
学校に着き、クラスを確認する。
1クラス30人の3クラスみたいだ。
やはり田舎の方だからか、地元の子達ばっかで既にグループも出来ている。
生徒数も少ない。
高校はこの町でここだけのようで、ほとんどが顔見知りのようだ。
他所から来た僕は輪に入りずらく、1人で椅子に座っていた。
町と言うべきか、村と言うべきか……
兎に角物凄く田舎。
交通機関も1時間に1本あるかないかだ。
周りに遊ぶ場所もこれと言ってないが、落ち着いていていい場所だ。
「なぁ!見かけねぇ顔だけどどっから来たん?」
訛り混じりに後ろから声をかけられる。
「え、えっと……東京……」
「東京!?お前そんな所からなんでまたこんな田舎に来たん!?」
「親は元々ここ出身で……従兄弟もここに住んでたからなんとなく?」
「へーお前変わっとるな?名前なんて言うん?」
「紡。君は?」
「俺は稑(りく)。よろしくな!紡!」
「う、うん!よろしく!」
と、友達出来た!!
てかいい人……
稑くんに体を向けて話していると、後ろにも男の子がいた。
この人どっかで……
「あっ!!!!」
さっき墓参りで見かけた黒い靄を抱えてた人だ!
あれ、でも今は何も無い……
「ん?知り合い?」
「あ、ううん!人間違えだった!」
危ない危ない……
僕の霊感のことがバレたら変な人って思われちゃう……
「なーんだ。」
そう言って稑くんは僕と肩を組みその子の方に体を向けた。
「琉己(るい)!こいつ友達になった!東京から来たらしいぜ!」
琉己くんって言うんだ。
「稑、お前また直ぐにそうやって……っお前……かお……」
「紡っていうんだってさ!仲良くやろうぜ!」
「あ、うん!琉己……くんもよろしくね?」
琉己くんは一瞬僕のことを知ってるかのような表情をしていたが、僕の名前を聞いて表情が戻った。
誰かと勘違いしたのかな?
「……あぁ、よろしく……」