第2章 初恋
紡side
『ここだよ!』
案内してくれた場所はミキちゃんの家から20分程歩いたところにあるアパートだった。
ここの1階の一番端の部屋だと言っていた。
丁度その部屋に誰が入っていくのが見えた。
あれがミキちゃんの彼氏かな。
振り向くとミキちゃんは顔を赤くしていた。
頬がほんのり赤く、目も潤んでいる。
『ユウくん……やっぱりかっこいい……//』
これが恋をしている人の顔……
僕もこんな顔していたのかな……
……琉己くんの前であんな顔を??
「っ///」
急に恥ずかしくなって体の体温が上昇していくのが分かった。
『ちょ、どうしたのよ……』
「なんでもない!!!//」
にしても……どうやってこれを渡そう。
彼にとって僕は知らない人だし。
だからといってミキちゃんからですって言ったら何故僕が知っているんだってなるし……
ミキちゃんの霊に頼まれましたって言っても信じて貰えないだろうし。
渡す方法を考えていたがこれといっていい案が出てこず、結局ポストに投函するというシンプルな考えしか思いつかなかった。
姿を見られると面倒なことになりそうだから音を立てないようにそっと投函することにした。
ゆっくり投函し、近くの物陰に隠れる。
暫くすると中からユウくんと呼ばれていたミキちゃんの彼氏が出てきた。
ポストの中のプレゼントに気づいたのかポストの中を触り取り出す。
メッセージカードを見て気づいたのか慌てて中身を確認しようと包装を破いている。
中の時計を見てユウくんは涙を流した。
「ミキ……ミキ!!どこだ!出てきてくれ!」
ユウくんは辺りを探し回っている。
「頼む……近くにいるなら……返事をしてくれ……」
「……ミキちゃん……いいの?」
隣で耳を塞いで蹲っているミキちゃんに尋ねる。
『出ていったとしてもどうせ見えないよ……』
涙を流している。
さっきまで明るく振舞っていたのが嘘みたいだ。
今まで無理に笑っていたのだろう。
「ミキ……例え幽霊でもいい……頼む……顔を見せてくれ……」
その言葉を聞いて僕はユウくんの前に出ていった。