第2章 初恋
紡side
「琉己くーん!ごめんね!待たせちゃった!」
走って琉己くんの元へ戻ると琉己くんは服屋さんにいた。
「ちょうど良かった。」
そう言って琉己くんは僕の手を引いて試着室の前へ連れてきた。
そのまま待っててくれと言って試着室の中へ入っていく。
というか……
「何で付いてきたの?!」
小声で僕の後ろを着いてきたミキちゃんに話しかける。
あの後振り切ろうと走ったけど、流石に幽霊には勝てない。
体力が減らないのだろう、羨ましい。
『良いじゃん、別に。私死んでてやる事ないし、君のデートが気になったし。』
「だからデートじゃ……//」
『はいはい、ただの遊びね。』
「誰と話しとん?」
琉己くんが試着室から出てきて僕に尋ねた。
「ただの独り言だよ!」
何とか誤魔化そうと嘘をついたけど、余計に変な人だと思われた気がする。
「……ふーん……なぁ、これどう?」
琉己くんはさっきまで着ていた服とは違う服に着替えて僕の前に立っていた。
「かっこいい……」
物凄くスタイルが良く見える。
いや、元々良いのかもしれない。
普段制服ばっかり見てるからかな。
足長い……顔小さい……身長高い……
「……そうか……えっと……ありがとう?」
琉己くんが戸惑っている。
今僕なんて……
『ふーん……?』
ミキちゃんがニヤニヤしてこっちを見ている。
今僕「かっこいい」って言った?
「え、いや……ちがっ……くて……いや、違うくはないんだけど……//」
頭の中がグルグルと回る。
かっこいいのはかっこいいんだけど、そんなんじゃなくて……
「どうしたん?お前何か変だぞ?……かっこいいならこれ買うか。」
「え、あ、うん!いいと思う!」
別に男性にかっこいいって思うのは普通じゃん。
どうして僕こんなに焦ってるんだ。
友達同士でかっこいいは普通に言い合うじゃん。
『恋してるねー』
「恋!?」
「?」
「あっ……」
しまった、ついミキちゃんの声に反応しちゃった。
恋……?
そんな訳ない。
だって僕のこれは友達が出来て嬉しいっていう気持ちであって……
相手は同性……それに友達……
琉己くんの顔を見る。
何故か輝いて見えた。
心拍数が上がる。
体が熱い。
これが恋……なの?