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【R18】消えた君

第2章 初恋


紡side

早く着きすぎちゃった……
現時刻8時半。
周りに時間を潰せるような所もない為駅のベンチで待っていることにした。

「早いな。」

「琉己くん!」

まだ8時半なのにも関わらず琉己くんは準備万端で自転車を漕いで来た。
私服の琉己くんだ……新鮮。
髪型もいつもと違う。

「早く着きすぎちゃったんだよね。2人で稑くん待ってようか。」

「稑は今日来れなくなった。」

「え!?どうして!?」

琉己くんは黙ってスマホの画面を僕に見せた。
画面には稑くんとのやり取りが。

『ごめん!朝から熱が出て行けんくなった!今日はなしで!紡にも伝えとって!』

その後の琉己くんの『わかった』と返事があった後既読が付いていない。
体調が悪いのだろうか。
心配だ。

「なら今日は帰ろうか。」

「いや、行く。せっかく準備してきたんやし。俺は行きたい。」

「え、2人で?」

「嫌なんか?」

「嫌……じゃないけど……」

稑くんいないとちょっと気まずいというか……まだ話しにくいというか。

「わかった。行こっか。」

琉己くんの自転車を駐輪場に停め、駅の中に入る。
ちょうどタイミングよく電車が来たようで、琉己くんが僕の腕を引いてくれた。
暖かい。
誰かと手を繋いだのは何年ぶりだろうか。

「琉己くん……」

「?なんで顔赤くなってん?熱?」

「う、へ!?!そんなことないよ?!たぶん!//」

琉己くんが首を傾げている。
自分でも琉己くんの問いに対しておかしな返答になったのがわかった。
顔が赤い?
そんなこと……
ふと電車の窓に映った自分の顔を見ると耳まで真っ赤になっていた。
思わず両手で顔を隠してしまう。
何今の顔。
初めて見た。
顔が熱い。
胸もドキドキしている。

落ち着け……落ち着け僕。
体調は悪くない。
ゆっくり深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
きっとイケメンに手を握られたからだ。

僕は少し気持ちが落ち着き琉己くんの隣に座った。
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