第15章 食事とお酒と媚薬
「リューさん・・・。」
「ん?」
「明日は、ラーメンと炒飯です。」
「???」
そうだった、初メニューだ。また知らない単語がと聞こえた気がする。でも、王太子にラーメン・・・せめて、パスタの方が良かった?なんて、意味のない思考を始める。
「口出ししたら、私が殲滅するから問題ない。」
「そうですか。なら、何も問題ないですね。」
二人で顔を見合わせて笑った。現実逃避した私である。
翌朝、リューさんが中々放してくれなかったけれど、何とかベッドから出てはテイラーさんが作ってくれた朝食を食べてリューさんはお城に行ってしまった。
残された私はというと、昨日作ったチャーシューの確認。上手く味が染込んでいればいいのだけど。味見がてらに軽く炒飯の試作。
「なぁ、エイリン。それ、何?」
味見をしようとした時、汗だくのルカさんが顔を覗き込んで来た。驚いて器を落としそうになったけれど、何とか死守。
「お、驚かさないでくださいよ。」
「悪い悪い。で?」
「・・・試作のチャーハンです。」
ん?何故、ルカさんは口を開けているの?雛鳥みたいで可愛らしい・・・。仕方ないので、一口放り込んだ。ゆっくりと咀嚼するルカさん。
「何これ・・・何か、この肉?いい味!!美味いっ。」
大絶賛されたので、チャーシューのヘタも提供。
ルカさんは、目をハートにしてチャーシューを見ていた。面白い人だ。
「好きだ、愛してると言ってもいい。」
うん、本当に面白い人だ。チャーシューを愛しているのか。あ、でも、私も大好きだ。
「今度、俺の為に作ってくれないか?買ってもいい。これをアテにして酒を飲みたい。」
「あはは。それもいいですね。その時は、軽く炙ったらもっと美味しいと思いますよ。」
結果的には、器用なルカさんは自分で仕込むほど嵌ってしまうのだけど。
昼になり、リューさんが王太子と帰って来た。ラーメンにフォーク・・・とは思ったけれど仕方ない。そして、王太子は泣いていた。
「んふ・・・んっ・・・どうして、こんなに美味しいんだろう・・・どうして、これが城で食べられないんだろう・・・この味を知ったからには・・・毎日が・・・拷問だ・・・。」
「ノーチェ様、意味不明なことを仰らないでください。それから、泣きながら食べるのは見苦しいです。」
安定の辛辣な言葉を投げるリューさんがいた。
