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清算は断罪と共に

第14章 悪役令嬢


「仮に何かあっても、あの王太子の敵に回る様な勇気あるヤツは早々いない。ボスに何かあれば、困るのは王太子の方だ。」
「どうしてですか?」
「あの王太子に苦言を言えるのは、ボスくらいだ。ボスの敵に回る相手はどんな高位の貴族でも、王太子が守ってくれる。人当たりのいいお人だけど、やっぱりそういうところは王族の人だ。」

それ以上は口にしなかったけれど、きっと、怖い人なのかもしれない。王族って立場の人は。でも、王太子が守ってくれるのなら安心なのかな?

「あのお人は、ボスと出会ってからボスにメロメロだからな。何があっても、手放さないだろうぜ。あ、メロメロってそういう意味ではないから誤解するなよ?」

ルカさんは、リューさんの昔話を聞かせてくれた。王族より出来が良く魔法も剣術にも秀でたのは、リューさんが平民では初らしい。

剣術で王太子を負かせてから、お気に入りとなったらしい。今では、気軽にこの屋敷に訪ねて来る程の気軽な関係だと言う。

「しかし、あの女も相変わらずだな。」
「ルカさんは、あの人を知っているの?」
「まぁな。貴族嫌いになった発端だからな。」

始めて対面したのは、お城の中だったらしい。王太子との橋渡しを強要して来たのを、リューさんは断わったらしい。その日から、陰湿な嫌がらせを受けていたのだけどリューさんは最初は気にしていない様だった。

だが、ある日、貴族令嬢たちから言い寄られる様になったそうだ。幾ら平民でも、王太子の肝入りの存在でイケメンで多才。

欲しがる貴族は多かったらしく、既成事実を作られそうになった事も何度かあったらしい。そんな出来事が重なり、すっかり貴族令嬢を忌避する様になった。

その入れ知恵をしたのがあの令嬢で、それでも証拠不十分で咎められることはなかった。ただ、王太子からは完全に拒絶され未来の王妃を願うことは出来なくなった。

リューさんも、もしあの令嬢を婚約者として選ぶなら今の地位を返上すると王太子に言ったそうだ。そんな事を言わなくとも、選ぶ事はなかったのだけど。

それで仕方なく、あの令息と婚約することになったそうだ。相手はお金持ちだが、子爵家の長男。格下の家へと嫁ぐことになるが、贅沢はさせて貰える様だった。

派手目の見た目で美人の類いで高位の貴族だから、相手の子爵家も承諾したそうだ。でも、あれでは破棄となるだろう。
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