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清算は断罪と共に

第14章 悪役令嬢


この間も、背後では鈍い音と罵声が浴びせられている。

「すまない、先に馬車の中で待っていてくれ。くれぐれもこっちを見ない様に。分かったか?」
「はい。」
「いい子だ。」

私の頬を一撫でしては、馬車の中に私をテレポートさせたリューさん。馬車の中で、さっきの事を思い返しては怖くなった。

リューさんを悪く言ったことは許せないけど、男性が暴力を振るうのは許容できない。王太子の側用人とはいえ、リューさんは平民だ。

何かあったらどうしよう・・・心配で胃が痛くなる。どれくらい待っていたのか分からない。人の足音が近づいて来ては、馬車のドアが開きリューさんの姿を認識できた。

「リューさん、大丈夫?」
「あぁ、治安部隊に引き渡して来たから問題ない。ん?エイリン、どうかした?」

私はリューさんが怪我していないか、身体のあちこちを触って確認。そんな私を微笑ましそうに見詰めては、そのまま馬車に乗り込み膝の上に私を乗せた。

「怪我などしていないから。」
「良かった・・・。」
「嬉しいよ、こんな風に心配してくれるのは。」
「そ、そんなの心配するに決まってるじゃないですか。何か怖い事が起こってるし、相手は貴族なのでしょう?」

堰を切った様に私の頬に涙が伝う。

「すまない、泣かせてしまったな。だが、何も問題はないよ。色々と、情報提供しないといけないだろうが私が何かした訳でもないからな。」
「じ、情報提供って・・・何か、濡れ衣着せられたりとかないの?」
「捻じ伏せるから何も問題ない。」

清々しいほどの笑顔を見せられたが、言葉は物騒だった。デートは途中で切り上げになったことは残念だけど、登城するとのことでリューさんは出掛けて行ってしまった。


「災難だったな、折角のデートだったのに。」
「・・・リューさん、大丈夫だと思います?」
「ボスなら何も心配いらない。」

この絶対的な信頼はどこから来るのだろう・・・。
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