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清算は断罪と共に

第14章 悪役令嬢


「リューさん・・・本当に婚約破棄になるのかな?」
「難しいと思う。」
「どうして?」
「令嬢の家は高位の貴族。そして、令息の方はその逆だ。また、令息の両親は高位の貴族と縁を結びたがっている。幾ら本人が拒絶しても、当主の意見が変わらない限り難しい。」

男女逆の立場でも、こういうことはあるのか。だから、令嬢もあんなに態度が高慢なのか。

「リューさん、さっきは本当にごめんなさい。」
「いいよ、私の為に戦ってくれたんだから。でも、貴族には気を付けて?」
「うん。」

下位の貴族だけど、お金持ちで高位の貴族と縁続きになりたい令息の家。高位だけどお金が何よりも大好きな令嬢の家。利害が一致している縁談。

「そうだ、今度、お城においで。殿下も許可してくれたから。エイリンは私の婚約者だからって。」
「ありがとう。何か差し入れ持っていくね。」
「楽しみにしてるよ。」

私たちは穏やかにこんな会話をしていたのだけど、言い争っている二人は更にヒートアップ。

二人が互いに興奮状態で、とうとう令嬢の握り締めた扇子が振り上げられ鈍い音が響いた。その瞬間、私の視界はリューさんに抱き入れられ遮られたが、痛そうな鈍い音と女性の悲鳴が聞こえた。

ん?ドサッと音がした?あの男性が殴ったの?目の前はリューさんの胸。振り返ることは出来ない。そっとリューさんを見上げると、私の視線に気付いたリューさんがいつもの微笑みを見せてくれた。


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