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清算は断罪と共に

第8章 計画


私が住んでいた町にいる騎士団は、マーキュリー国と繋がっていた。というのも、イリル団長の奥さんがマーキュリー国の侯爵家の御令嬢だったらしい。

各言うイリル団長は、サターン国の子爵家の出身らしい。国同士の結び付きの為の婚姻はない訳ではない。ただ、イリル団長率いる騎士団はマーキュリー国に情報を流し、見目のいい若い女の子をジンに提供していたらしい。

私は異世界転生したから、元々の出身はこの国にはない。でも、色んな国を転々としている人は少ない訳ではないらしい。

そんな中、何処からともなく現れた薬師の私を標的にし、あの町で永住する様に斡旋したのがイリル団長。町から出ない為に、セドリックと婚約させたのもイリル団長の計らい。

上辺では反対しておきながら、全てはイリル団長の計画だった。世間知らずの私は、まんまとそれに引っかかった。

更に言うと、そういう斡旋予備軍の女の子は色んな町にいるらしい。そうか、だからお爺ちゃんの支店があちこちにあったのか。

セドリックはその事を知らないらしい。両親はイリル団長に頼まれて、断われなかったらしく承諾した様だった。

元々は穏やかで御曹司そのもののセドリック。今は、良からぬ仲間とつるんでは悪さをしていると聞いた。そして、衝撃だったのが・・・あの女性を売っていたこと。

その計画も全て、お爺ちゃんやイリル団長などマーキュリー国に縁のある人が行動した結果だった。

「セドリックは、今は何処に?」
「コリスのところで、地下牢に閉じ込められているそうです。あそこには、腕っぷしのいい男もいますから。意気揚々と乗り込んでみたものの、返り討ちにあった様ですよ。」
「地下牢なんて・・・では、セドリックはどうなるのですか?」

本当なら、私と婚約なんてしていなかったら今でも人のいい御曹司だったのかもしれない。周りからけし掛けられてその気にさせられて、婚約した結果がこれではひど過ぎる。

「仮に助けたとして、今のセドリックは貴女に執着していますから何処までも追い掛けて来ますよ。得た情報では、貴女を囲い込むと息巻いているらしいですね。」

そんなの、ジンと変わらないのでは?この世界に、女性の人権は無さ過ぎる。無性に腹立たしさと、怖さが襲って来た。出来るなら何とかしたかったけれど、もう手遅れなのだろう。
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