第4章 生まれた病と闇
俺は俺が女の子に手をあげたのだと悟った。それでも、信じられなかった。今まで、そんな事をしたことが無かったからだ。でも、身体を起こした女の子が俺を睨み上げて来たことによって、何かの鎖が切れた音がした。
そして、気付いた時には女の子の身体は傷と泥でまみれていた。
「何だろう・・・悪くない気分だ。」
そんな俺に声を掛けて来たのは、二人組の男たち。人のいい笑みを浮かべながら、俺に話す。そうだ、俺と対面するならこんな表情が妥当だ。
「その女、もう要らないのかい?」
「えっ?」
「身形はアレだが、顔はいい。高く売れるならどうする?」
売る?そんな事、思ってもみなかった。
「何なら、俺たちが買ってやってもいいぜ。」
そんな俺たちの会話を聞いて、女の子が俺にしがみついて来た。さっきまでの態度は何だったのかと思うほど、殊勝なもの。
金ならまだ少しゆとりはあるが・・・そもそも、幾らの値段が付くのだろうか?
「幾らだ?」
男たちはニヤッとした顔をしては、ジュピターで宿屋に父さんが支払ったのとそう変わらない金額を口にした。
売れば、そう少なくない金が手に入る。しかし、売る・・・か。
無言のまま考え込む俺に、男たちはこんな事を言って来た。
「だったら、この女の初めてを兄さんにやるよ。それでどうだ?」
俺は言われた言葉に呆然とした。今、俺に女の子の初めてをやると言われた?確かに、ほんのたまにだけど大きな町に出た時にそういう店を利用したことはある。
「その言葉、信じていいのか?」
「あぁ、信じていい。何なら、今から伝手の宿屋を紹介してやろう。金なら前金で渡そう。今晩はゆっくり楽しんで、明日、引き渡してくれればいい。」
上手い話には・・・と、普段なら乗らない話しだったが、この時の俺はどうかしていたのだと思う。
「分かった。それで手を打とう。」
「契約成立だな。じゃあ、付いて来てくれ。」
男たちは、裏道にあるが見栄えはそれなりの宿屋に案内してくれた。言われた通り契約書を交わし、前金を貰った。
泣き叫ぶ女の子は、俺に殴られ既にボロボロになっていたけれど、宿屋の従業員によって身体を洗われ部屋に連れて来られた。
殴ったせいで頬は腫れていたが、貴族の令嬢らしく綺麗な顔立ちをしている。薄い布切れ一枚しか身に着けていない女の子は、今までの勢いを何処かに忘れて来たらしい。